【オススメ本】やり抜く力は親子二人三脚で育てよう ― やり抜く力 GRIT(アンジェラ・ダックワース著)

 日本人は才能よりも努力を美徳とする傾向があると思いますので、
「成功したければ努力しなさい」と言われたら、当たり前かと思うかも
しれませんが、世界的ベストセラー『やり抜く力 GRIT(グリット)
―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』は、
多くの気づきを与えてくれました。

 当たり前のことを当たり前にやることは、実はすごく難しい話ですし、
「GRITを伸ばす子育ては、具体的にどうすれば良いか?」という観点から
読み進めていくと、多くの親が出来ていない、と感じることも多かったです。

 そこで今回は、「GRITを伸ばす子育て方法」という視点から読んでみて
印象に残ったことをご紹介します。


【GRIT(やり抜く力)を強くする4要素】

 まず本書では、偉大な達成を導く方程式は、以下の2つだと説きます。
  ・才能×努力=スキル
  ・スキル×努力=達成
 つまり、『達成=才能×努力2』ということで、努力が2重(2乗)に
影響するということです。

また、GRITは「情熱」と「粘り強さ」の2要素で構成され、GRITを
強化するためには、(1)興味(2)練習(3)目的(4)希望の
4つの要素を順番に強くしていく必要があります。


(1) 興味

 GRITを強化するには、まず「やっていることを心から楽しむ」こと
が重要だ。そのために、興味を持続させる刺激や情報を提供し、肯定的な
フィードバックや励ましが必要となる。
特に初心者は、励ましを受けること
で自信が湧き、継続につなげられる。


(2) 意図的な練習

 一流になるには、10年以上、延べ1万時間以上の修練が必要と言われる。
さらに大事なことは「練習のやり方」で、以下の3つの流れで練習する。

 ①ストレッチ目標を設定する
 ②しっかりと集中する
 ③改善点を見い出し、上手くできるまで何度でも繰り返す

ストレッチした目標を集中してやることは、甚だしい疲労をもたらすため、
「意図的な練習」ができるのは最大1時間で、そのあとは必ず休憩を入れる。
どんなに頑張っても、1日に3~5時間の練習が限界だ。

 また、意図的な練習に向き合うのはハードで心が折れやすいため、
親は子どもが「困惑・恐れ・羞恥心」などを持たせない働きかけが必要だ。


(3) 目的

 目的は利他的な動機であるほど効果がある。従い、「役に立ちたい!」と
思わせることができると、情熱が高まる。
 さらに、「私ならきっと変化をもたらすことができる」という確固たる信念
をもち、行動を起こす覚悟が必要となるが、そんなときこそ手本となる人物を
目の当たりにした経験があり、「この人のようになりたい」と具体的に考える
きっかけを与えることが必要だ。


(4) 希望

 やり抜く力がある人は、楽観主義者であり、「どんな出来事からも何か
しら学べる」と考えている。さらに、失敗したら「もっと努力しよう」
というマインドセットが作り上げられている。このようなマインドセット
にするには、褒めて手応えを感じさせることが大事だが、声のかけ方次第で
「もっと頑張ろう」と思う『成長思考』になるか、「どうせダメだ」という
『固定思考』になるかが分かれる。

以下に成長思考を妨げる表現と、伸ばす表現をまとめている。

 ちなみに、成績のいい子を特別扱いすると、他の生徒が固定思考に陥り
チャレンジをしなくなるという。子どもがミスをしたとき、「ミスをする
のは悪いことで、問題だ」というメッセージ(言葉でなくとも、表情や
声のトーンも含む)を発すると、子どもはチャレンジをしなくなる。



【GRIT(やり抜く力)を伸ばす子育て方法】

 GRITを育てようとしたとき、「やさしい育て方」と「厳しい育て方」は
どちらが良いのか?と悩む親は多いでしょう。本書の答えは、両方です(笑)

 賢明な育て方は、「高い期待」と「惜しみない支援」の組み合わせです。
では、具体的にどうすれば良いか?について本書で述べられていることを
私なりに7カ条にまとめてみました。


賢明な子育て 7カ条

 ①やりたい(かつ達成はハードな)ことを親子で宣言しあう
 ②ストレッチ目標を自分で決める(決めさせる)
 ③「やめてもよい」という自由度(寛容さ)を持つ
 ④率先垂範で1年は続ける
 ⑤しっかりと見る(観察する・見守る)
 ⑥「どうせ無理」と思わせないポジティブなフィードバックをする
 ⑦「期待してるよ」というメッセージを伝える

 

 「子どもはおとなの言うことを聞くのは得意じゃないが、まねをするのは
抜群にうまい」(p.244)という一文がドキッとさせられました。GRITは
親からだけではなく、周囲のメンターやコミュニティからも影響を受けて
伸びるとも書いてあり、少し安心ましたが、まずは自分がGRITを伸ばす
という姿勢で日々向き合わなければと痛感しました。

 そして、子どもの可能性を信じて、しっかりと様子を観察しながら
成長思考を伸ばす表現でフィードバックしていくことでGRITを高めて
いけたら、子どもは自立できるでしょう。

 

 子どもにやり抜く力を身につけさせたかったら、家族全員で挑戦するのが
一番効果的かもしれませんね。



グロービスMBAの学びをファミリーマネジメントに活かす

グロービス経営大学院の卒業生&講師である平野善隆が、仕事・家族・個人の全ての満足を最大化させるための思考法・行動様式を研究・発信していきます

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